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| バンコクでの歯科医院開業にむけて |
生きがいのある人生のために
現在私は、日本国内の地方都市で歯科医院を開業し12年目を迎えています。年齢は44歳になりました。開業医としての当初からの目標は、患者さんのために一生懸命治療して、「ありがとう、先生に治療してもらってよかった」と言ってもらえるように頑張ることでした。そして、今も患者さんに必要とされる歯科医師になりたいと思って毎日の診療をしています。
しかし、15年後、私が60歳になったとき何人の患者さんが私を必要としてくれるのでしょうか。日本国内ではこれから10年まだまだ歯科医院は増加し、私は世間でいう定年の年齢に近づきます。また地方都市が、10年後に人口減少・高齢化社会よって過疎化していくことは避けられないことだと思います。つまり、私が歯科医師として充実した人生を送るのに、日本国内の医院だけでは難しいのではないかと考えています。
また以前よりボランティア医療活動等に参加し、私を必要としてくれる場所があれば海外でもどこででもいきたいと思っていました。この10年間、私は歯科医師として生きがいのある人生をおくるために、海外で活躍する道をいろいろな方面から調べ準備してきました。
医療の国際化
海外旅行に行ってもし具合が悪くなったとき、日本人のお医者さんがいてくれたらと思うことがあります。特に海外出張で外国に暮らす日本人は、医療に不安を持っています。私は歯科医師として海外に暮らす日本人が安心して治療を受けられるようにサポートしていきたいと考えています。
また、今後海外に出て活躍したいと思っている歯科医師、歯科衛生士の方々にも道を開きたいと思っています。スポーツでも音楽でも企業でも、多くの日本人が自分の力を試すために海外に進出し活躍しています。
私たち歯科医療従事者もチャレンジできるようになればいいと思っています。そして日本の医療技術を必要としている世界の人々のために、診療所とスタッフを提供していきたいと考えています。日本人の心、文化、技術は素晴らしいものです。私たちはそれを世界の人々に伝え世界の平和や環境のために生かさなければなりません。
私たち歯科医療従事者もその活動先を日本国内だけに求める時代は終わったように思われます。ほかの業種において日本国内だけで活動している業種はほとんどありません。資源を持たない日本は様々な形で海外とかかわりをもって暮らしています。
医療面でも同様の現象が起きてきています。海外では日本の優秀な医師、歯科医師及び看護士、歯科衛生士が必要とされていますし、日本ではインドネシア人の看護士、また、タイ人の介護者、僻地での中国人医師、各国の研究者などが日本国内でかなりの人数を必要とされています。この動きは今後どんどん大きくなっていくことが予想されます。
私たち歯科医療従事者も国際社会との関係をしっかり把握し、変化に対応しながら進んでいかないと、チャンスを逃すだけでなく目前の明るい未来も見えてこないと思います。
海外で診療するために必要な条件
それでは実際に歯科医師として海外で活躍するには何が必要なのでしょうか?
まず、日本人歯科医師として十分な知識と技術、そして歯科医師としての心を持っていることが絶対条件です。海外にはそれぞれの国に多くの歯科医師がいます。その中でも必要とされている日本人歯科医師は、優れた人に限られます。
タイでもインプラント、矯正、審美歯科、レーザーなどの治療は当然のようにおこなわれています。外国では日本のような保険制度はありませんから、日本でいう自由診療の治療は、ほとんどの先生が海外留学を経験し富裕層を相手に専門的に行っています。ですから日本人歯科医師というだけでは役に立ちません。日本で学ぶ基礎知識はもちろんのこと、日本で開業しても十分やっていけるだけの知識と技術が必要です。
また、海外で暮らすにあたって家族の同意が必要です。そのためには家族を十分納得させられるだけの思いと情報を持たなければなりません。形はいろいろあると思いますが、家族が協力してくれる態勢でないと時間や気力、そして資金を充実させることができず、良い結果は得られないと思います。
短期の出張ではなく海外での開業となると不安な点が多く、家族には反対されることが多いようです。思いつきで行動しているようでは日本を離れ外国で暮らすことを家族は望んでくれないと思います。
そして、資金が必要です。海外で開業するには少ない資金で開業することもできます。しかし外国では同じ国内でも日本の何倍も資産格差があります。少ない資金で開業できる場所は、少ない収入しか得られない場所がほとんどです。
タイ国内でも日本と同じくらいの物価の地域もあり、その場合開業の費用も日本と変わりませんが、それは診療報酬も日本と同じくらいであることを意味しています。つまりどういう目的で開業するかをはっきりさせることが大切です。
たとえば収入はそんなに多くなくとも歯科医師として充実した外国暮らしをしたいのか、日本以上に頑張って多くの収入を得たいのかなど目的を明確にする必要があると思います。その上で開業する国や街、地域を選択することが大切だと思います。
また、日本に借金を残していないことも大切なことです。海外で開業して順調に収入が得られるには時間がかかります。現地での情報収集や契約、法的手続きなどどうしても時間を要することがいくつもあります。もし現地での開業に借金がある場合、日本と両方の返済が発生するとじっくりと事を運ぶことができません。良い物件・良いパートナーを選ぶのにあせっては後悔することになりかねません。そのためにも日本での借金は返済しておくことが大切です。
パートナーの重要性
これらの条件を満たし海外で開業しようとする場合、最も大切なことは現地で一緒に経営者となり治療も行う可能性のあるパートナーの存在です。タイでは日本人だけで開業することはできません。タイ人とともに合弁会社(歯科医院も合弁会社です)を作りその株式の49%以下を日本人が取得することによって開業することができます。
そしてその合弁会社には日本人経営者一人にあたり、4名以上のタイ人を雇用する義務があるなど様々な法的な縛りがあります。これらの問題をクリアーするためにはすぐれたパートナーを見つけることが重要です。
たとえばタイ人歯科医師をパートナーにする場合、まだ開業していない先生や雇用人数等の条件を満たしていない院所、また借金が多く経営状態があまり良くない院所などとパートナー契約を結んだ場合には、先行投資額ばかりが増え、いつまでたっても収益が改善されず、資金回収のめども立たなくなってしまいます。これでは充実した外国での医療活動は見込めません。
また、パートナーの性格や相性、信頼関係も非常に重要です。人種も文化も違う人がいきなり共同経営者として長きにわたり付き合っていくわけですから、十分なコミュニケーションをとりお互いが信頼できる相手だと確信しないととても共同経営をしていくことはできないと思います。
しかしこのパートナーの問題は、日本にいる歯科医師が自分の力で解決するのは非常に難しいと思います。現地の一般情報を集めるだけでも大変ですが、歯科医院の経営状態や歯科医師の人柄、相性などを調べるのは容易なことではありません。
また、契約に関する書類や法的手続きなども含め、海外で開業するためには代理人が必要です。この代理人を決定するのもとても大切なプロセスです。
つまり海外での開業には二人のパートナーが必要だということです。一人は代理人、もう一人は共同経営者です。どちらが不適切でも海外の開業は失敗すると思います。プロ野球選手やサッカー選手が海外に移籍する場合にも代理人に交渉を任せています。私たちは契約交渉も大切ですが、現地での診療をいかに成功させるかに労力を使わなければなりません。そのためにも信頼できる二人のパートナー(共同経営者と代理人)を決めることが、海外での開業に最も重要なポイントになると思います。
ここまで来て
インターナショナルデザインに出会ってから8カ月がたちました。この間にバンコクに7回行きました。7回のバンコク行きでホテルには1日も宿泊せず、すべて機中泊で日帰りでした。東京でのミーティングは4回、パートナーのタイ人の先生には2度日本にいらしていただきました。私の診療所に歯科医師は私一人しかいませんので、できるだけ診療を休まないように心掛けました。それはこれから外国で暮らすにあたり、今まで自分が日本でやってきた診療を大切にして、後を任せる先生に良い形で引き継いでいくためにこのようなスケジュールを選択しました。
体力的にも精神的にも金銭的にもきつい時もあります。しかし総合的に見て今の年齢でしか私にはチャレンジする時はなかったように思います。5年後では体力的に無理です。5年前では歯科医師として、人として、経営者として不十分であったと思います(今も不十分ですが)。
この最初で最後のチャンスを生かしてみたいと思っています。不退転の覚悟で出発するつもりです。頑張ってきた診療所、一緒に飲んだ仲間たち、年老いた父母、いろんなものと離れ、夢を実現するために、そして人生のリセットボタンを押し新しい成長した自分に生まれ変わるために、この事業に命を削り立ち向かっているつもりです。
大学を卒業して技術を磨き開業して成功すること、これは歯科医師を志した時点で与えられたノルマでした。親に引いてもらったレールをただまっすぐに進んできたにすぎないと思います。まだ私は人生の出発点にさえ立っていません。これからが私の本当の人生の始まりです。失敗しても悔いのないよう精いっぱい頑張るだけです。
最後に私のつたない経験が今後のみなさまの活躍の手助けになれば幸いです。
Dr.KIMURA
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